【BUBKA2月号】栗栖正伸、イス大王が語る遅咲きヒールとしての苦節50年
――スーパースターが、付き人の彼女にも気を配るってすごいですね。
栗栖 モハメド・アリ戦のときなんか、うちの嫁さん、一番前で観てたんだから。猪木さんが気をつかって席用意してくれて。
――あの当時で30万円の席ですか!
栗栖夫人 もう、びっくりしてね。どこの席だろうと思ったら、そんな席なんですよ(笑)。
栗栖 そういう意味ではウチの嫁さんもいい思いをしてるからね。
栗栖夫人 だからあの試合の次の日、新聞記事を見て、この人すっごい怒ってたんですよ。
――「世紀の凡戦」とか、めちゃくちゃ叩かれましたもんね。
栗栖夫人 おかげで、しばらく機嫌悪くて、話しかけても返事もしない。
栗栖 そらそうよ! マスコミもいい加減だと思ったよ。猪木さんがあんな一生懸命やってるのに、「なんでこんな書き方なんだ!」「ふざけんな!」と思ったよ。
――アリ戦はいまになって再評価されてますけど、当時はあの試合の凄さがわからなかったんですよね。
栗栖 結局はそういうことよ。猪木さんは普通の人の先を読んでたんだからさ。ついてこれないよね。あの頃の猪木さんと一緒にいられただけで、こっちはゴッチャンだよね。
――全盛期の猪木さんに付いてたわけですもんね。
栗栖 試合も普段の姿勢も、間近で見ることができたからね。だから俺がメキシコでヒールとしてトップを取れたのも猪木さんのおかげ。猪木さんとタイガー(・ジェット・シン)の試合をずっと見ていたから、それを参考にして、タイガーのモノマネをやってたんだよ。今思うとね。