【BUBKA12月号】なんてったってキヨハラ第15回「キヨマーとニッポンの頂点」
この年のプロ野球は両リーグとも歴史的な独走ペナントとなる。9月8日に藤田巨人が吉村禎章の劇的サヨナラ弾で2リーグ制後史上最速のVを決め、主力選手たちが日本シリーズに備えて、続々とこちらも優勝秒読みのライオンズの偵察に駆け付ける。
12日の西武球場ではネット裏の桑田が見つめる前で、背番号3はロッテの村田からライトスタンドへ技ありの一発。「あの打ち方なら、あと10本は本塁打を打てる。タイトルも夢じゃないですよ」と若きエースはライバルの進化に脱帽した。
9月16日の日本ハム戦でも第35号を東京ドームのキリンビール看板最上部にぶち当て、ビッグボードスポンサー賞として賞金100万円と清涼飲料1年分が送られる夏のボーナスアーチ。現地で目撃した巨人正捕手の中尾孝義を震え上がらせる。
研究用のダイジェストビデオも見れば見るほど、西武の恐ろしいくらいの強さが際立った。巨人だって130試合制で年間70完投という恐ろしくタフな超強力投手陣を擁し、開幕から1カ月の謹慎期間で出遅れた背番号18も14勝7敗、防御率2.51と充分な仕事をしていた。それでも、ある意味シリーズを戦う前から巨人側は獰猛な獅子に飲まれていたのだ。
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中溝康隆=なかみぞ・やすたか(プロ野球死亡遊戯)|1979年埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。ライター兼デザイナー。2010年10月より開設したブログ『プロ野球死亡遊戯』は現役選手の間でも話題に。『文春野球コラムペナントレース2017』では巨人担当として初代日本一に輝いた。主な著書に『プロ野球死亡遊戯』(文春文庫)、『ボス、俺を使ってくれないか?』(白泉社)、『原辰徳に憧れて-ビッグベイビーズのタツノリ30年愛-』(白夜書房)、『令和の巨人軍』『現役引退―プロ野球名選手「最後の1年」』(新潮新書)などがある。