RHYMESTER宇多丸のマブ論、はからずも…ローファイで軽快なナンバー、三連発!

RHYMESTER宇多丸のマブ論

近年のビッキビキなハイファイ・サウンドの興隆にいささか耳が疲れ気味ということなのか、今月はなぜだか、あえてローファイな音像にこだわった楽曲たちに、まずは際立った魅力を感じることが多かったです。

例えば、お馴染みNao☆(Negicco)の『悠久の星』はNagakumoプロデュースによるネオアコ調ナンバー、くぐもったサウンドと性急なまでのスピード感が、いきなり眩しく瑞々しい!

あるいは、サリー久保田と高波慶太郎が新たに組んだユニットWink Music Service、女優・タレントのアンジーひよりをゲストボーカルに迎えた『ローマでチャオ』は、言ってしまえば90年代ピチカート・イズムをド直球でアップデートしてみせたかの如きスーパーゴージャスなポップチューン……鉄壁の世界観に、当然ながら抵抗するのは難しい。

そして、ローファイなサウンドという点では当初から一貫したスタイルを持つ桐生ちあり、関美彦提供の新曲『シモキタブルース』のフォーキーかつファンキーなテイストもまた、新鮮!

一方、近作において言わば「K-POP時代対応」路線の最前線を走ってきたAMEFURASSHIのニューシングル『Batabata Morning』も、これまでのひたすらハードでクールなパッケージングからはややシフトを変えた、ポップでキュートなテイストの一曲。やっぱクオリティ、高っ!

グローバルスタンダードなクオリティという意味では目下こちらも頭ひとつ抜けているExWHYZのセカンドアルバム『xANADU』、Shin Sakiura の『DIVE』、Shingo Suzuki(Oval)の『Darlimg』あたりと迷い抜きつつ、ここでは、やはりK-POP本国のセンスが光るMooF [153/Joombas]の『Walk this way』をチョイスさせていただきます。

昨年5月号欄外で触れたFarewell,My L.U.Vの『STELLA』、改めてゲストにMIC RAW RUGAを迎えLIL’OGIがリミックスした『Extended Dance Remix』もカッコ良かったですが、当連載としてはどうしても、抑えたストリングス使いもたまらないド渋なブギー『Boogie A Little Bit Closer Remix』を選ばないわけにはゆきません……!

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宇多丸|ヒップホップ・グループ「ライムスター」のラッパー。放送業界の最高栄誉「ギャラクシー賞」を受賞するなど、メディアでの活躍もめざましい。

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