【Rの異常な愛情】番外編…スチャダラパー、あの頃からぼくらはずっとこんな調子

「BUBKA5月号」に登場しているスチャダラパー

前号まで3回にわたりお届けした「Rの異常な愛情」のスチャダラパー回。今回はなんと、SDPのお三方が登場です! 言わずとしれた日本語ラップの現役レジェンドグループにして、今年4月16日には100周年(!)公演を先回りで行う彼らにたっぷりとお話を聞いてきました。

全然売れてなかった

――R-指定くんがスチャダラパーの最初期作『スチャダラ大作戦』『タワーリングナンセンス』『WILD FANCY ALLIANCE』(以下『WFA』)について語った内容を本誌にて記事化したのですが、お目通しいただけましたか?

Bose 読んだ読んだ。ありがたいけどさ、初期について語られるのはやっぱり恥ずかしいよ。

ANI 初期なんて自分たちからすると粗しか目立たないもん(笑)。

Bose ダウンタウンが初期の漫才を今のM――1とかと比べられる感じでしょ?

――それをプレイヤー側から分析されるという(笑)。

Bose つらいつらい(笑)。

――本当は『Fun-Key LP』ぐらいまでは行ってバランスを取りたかったんですが、それどころが“今夜はブギー・バック”までもたどり着かなかったという。

SHINCO せめて“ブギー・バック”から始めてよ(笑)。

――面白かったのが、やはりワードの伝わらなさ。特に“Little Bird Strut”でのANIさんの〈ニンドスハッカッカ/ヒジリキホッキョッキョ〉とはなんなのだと。

ANI 小松政夫のギャグね。

SHINCO 強烈にナンセンスな言葉とネタ。

Bose ま、そりゃ伝わらないよね。『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』はドリフとかと違って、再放送とかリバイバルもされないし。あの当時でさえ10年以上前のギャグで、うちらも「懐かしいやつ」として入れてたじゃん?「あったね~、デンセンマン」とか、寝かしごろのギャグとして入れてたし。

ANI レアグルーヴ的なね。でも今となれば「昭和」でひとまとめでしょ。

Bose 『スチャダラ大作戦』は一応平成2年のリリースだけど、もはや昭和の枠だよね(笑)。当時のタイムリーなギャグってなんだ?「だいじょうぶだぁ」とかか。

SHINCO でもそれは入れないでしょ。

Bose そのへんのさじ加減は今もあるよね。ANIも“ライツカメラアクション”で「おげんこーっ」って使ってるけど、あれも寝かし頃だったじゃない?だから使うワードがタイムリーだったり、時間がずれたりしてるのがサンプリングと一緒で、ヒップホップっぽいんじゃないかなと。

――サンプリングとTRAPビートが一緒になってるみたいな。

SHINCO ま、そういうことかもね。

ANI DJ感覚?

Bose メガミックス。

SDP ガハハ!

――Rくんが興味深く感じていたのが、『スチャダラ大作戦』『タワーリングナンセンス』の頃のスチャダラは、「何でこんなに怒っていたのか」ということで。

Bose やっぱりパブリック・エネミーとかに影響を受けてるから、世の中に物申すとか、メッセージを入れたいのよ。でも、当時はそれほど(社会構造にプロテストする)抑圧もされてないから、対象がもっと目の前のことになるんだよね。結局「人気者が嫌い」みたいな。「人気者が嫌い」は今とそんなに変わらない(笑)。

ANI ボーちゃんと俺が通ってた学校(桑沢デザイン研究所)は渋谷にあったから、街の状況も見ざるを得なかったし。渋カジブームが始まったぐらい?

――ちょうど「チーム」が生まれ始めたころですよね。

Bose 学校でもそうだし、渋谷の街でもそうだし、そこで人気あるやつがムカつくんだよね。

ANI キラキラしてるやつら。

SHINCO モテてる私立の連中ね。

ANI 俺らは鬱屈してる側だったから。興味を持ってたラップやヒップホップ自体が知られてないから「何それ?」みたいなさ。もし知ってても「すぐ終わるやつでしょ?」と思われてた。

Bose 当時のヒップホップの大ヒットなんて、デ・ラ・ソウルとかビースティー・ボーイズぐらいでしょ?

ANI 西海岸だとN.W.Aとか。でも当時の主流は全然ロックだったし、アメリカでも「そのうち終わる」みたいな感じだった。

Bose 日本なんてラップをやってる人は全員知り合い、マイナーなアニメのオフ会レベル(笑)。だから内容もおのずと内輪とかに向いてくるし、そこを喜ばせればOKみたいな。それこそCreepy Nutsみたいにテレビにガンガン出るような状況だったら、昔のSDPみたいな内容は歌ってないよ。それに“ブギー・バック”後のイメージで「SDPは売れてる」って思われがちだけど、それまで一切売れてなかったから!

ANI たしかに(笑)。

Bose Rからすれば「SDPは売れてて恵まれてたのに、な~に文句ばっかり言ってるんですか?」と思ってるかも知れないけど、当時のSDPは売れてない!マジで!(笑)。

ANI メジャーな音楽と比べたら全然売れてなかったよ。

Bose 『大作戦』の時なんて「いずれはメジャー」なんてイメージ自体がない。

SHINCO ない。「メジャーフォース(日本初のクラブミュージックレーベル)からCD出せるの!やった!」だけ。ボーちゃんも働いてたじゃん?だから音楽で食ってこうと思ってないから、何でも言えたんだよね。

Bose 「どうせラップ辞めるし。だったらすげえ悪口言って辞めてやる」みたいな。「売れよう!」とか「テレビにいっぱい出たい!」って気もないからやりたい放題で。「どうせ誰も聴いてねえし!言いたいこと言ったる!」みたいな。

ANI メジャーに進出した『タワー~』でもバンドブームに文句言ってるけど、(イカ天バンドだった)AURAとか宮尾すすむと日本の社長と同じレーベル(EPIC/SONY)だったよね。

Bose そうだ。そういうバンドのすぐとなりで文句を言っているっていう(笑)。

SHINCO ソニーではウチらと電気グルーヴは何やってもいい枠(笑)。

Bose まあ、バンド側も気づいてないだろうなと思ってたし。

ANI 向こうは見えてなかったでしょ、こっちのことなんて。もはや透明(笑)。

SHINCO 結局、大勢に全然影響なし(笑)!

――まだまだ終わらないインタビューの続きは発売中の「BUBKA5月号」で!

取材・文/ 高木“JET”晋一郎

スチャダラパー|Bose、ANI、SHINCOの3人からなるラップグループ。1990年にデビューし、『スチャダラ大作戦』をリリース。翌、91年には『タワーリングナンセンス』、93年に『WILD FANCY ALLIANCE』と、コンスタントにアルバムを発表し、94年には小沢健二との楽曲『今夜はブギー・バック』が話題となる。最新アルバムは『シン・スチャダラ大作戦』(2020年)。

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