STU48&SKE48、48グループで躍動する2つの「S」
劇場公演を活動の原点に置きつつも、それぞれの“約束の場所”を目指して奮闘する48グループ。活動5周年の節目としてその場所に立ったSTU48と、「新公演プロジェクト第1弾」であるチームS新公演を皮切りに歩みを止めないSKE48。今回は両グループの近況について考えてみた。
瀬戸内の風
7月10日、広島グリーンアリーナにてSTU48が5周年コンサートを開催した。
本来ならば5月3日に開催予定だったが、13人のメンバーが新型コロナウイルスに感染したため一度は中止になっていた。だが、STU48としてはこのコンサートを是が非でも開催しなくてはならない理由があった。
それは、グリーンアリーナでの開催をメンバーが悲願としていたからだ。
AKB48は東京ドームを、SKE48はナゴヤドーム(現バンテリンドーム ナゴヤ)を、NGT48は朱鷺メッセを目標の地と定めて活動してきたが、STU48のメンバーは結成当初からグリーンアリーナを目的地に掲げて走ってきた。
ここで広島県内のコンサート並びにイベント開催地の説明をしておこう。
最大規模の会場はエディオンスタジアム広島の5万人、Mazda Zoom-Zoomスタジアム広島が3万3千人、国営備北丘陵公園野外ステージが2万人。広島グリーンアリーナは1万人収容可能で、屋内最大の会場だ。愛知県でいうと日本ガイシホールくらい。東京体育館、ぴあアリーナMM、静岡エコパアリーナ、福岡国際センターなども1万人規模だ。
瀬戸内を拠点にしているアイドルグループが5年でグリーンアリーナに到達するのは相当な努力が必要とされることは想像に難くない。首都圏で活動するグループが首都圏で1万人を動員するのとわけが違う。
グリーンアリーナは市内の中心地にある。広島城や原爆ドームとはほど近い立地だ。会場に入って驚いたのは、取材陣が通されたエリアは、現地の関係者がほとんどだったこと。東京からやって来た取材陣は10人ほどで、瀬戸内各県のメディア、招待客が集結していた。
また、コンサートが始まる前のモニターには、地元を中心とした協賛企業10社(愛媛銀行、中国電力など)のCMが流されていた。その他、「サポーター」として4社が名を連ねている。
これは姉妹グループとしては理想的な形。地元に根づくことが地方都市で活動をする大きな意味だ。個人レベルでファンになってもらう活動はもちろんのこと、各種企業の支援がなければ大規模なコンサートを開催することはできない。そのあたりは5年間の活動の賜だし、スタッフの尽力によるものだ。
昨今のSTU48といえば、最新シングル『花は誰のもの?』が話題だ。ダンスリリックビデオの再生回数が100万回を突破しており、USENランキングでも上位をキープしている。発売は4月で、いったんはランキングから姿を消したが、歌詞の空耳が話題になって、再浮上している。
また、瀧野由美子が日向坂46のファンに見つかったり、昨年発売された写真集に重版がかかったりするなど、今後もファン層を拡大する可能性を秘めている。
この日のコンサートのテーマは、5周年のアニバーサリー感を演出することだった。研究生4人を加えた全メンバー(森下舞羽と吉崎凛子は休演)が参加し、オリジナル曲のみで勝負したことはとてもよかった。いつまでも姉妹グループの楽曲に頼ったセットリストを見せられたのでは、地元で活動しているからこそ応援しているファンはたまったものではないし、こちらも東京から観に行く必要はない。瀬戸内が瀬戸内で活動する理由を5周年の記念すべきコンサートでこそ見せてもらいたい。ファンは瀬戸内まみれになって帰りたいのだ。この点はクリアしていたように思う。
もうひとつ肝心なテーマだったのは、4月で兼任解除となった岡田奈々の影を感じさせないことだった。いつまでも彼女の人気と知名度と統率力に頼っていてはいけない。そのための兼任解除だ。コンサート中は岡田奈々を感じる瞬間がほとんどなく、この点についてもスタッフは意識していたのだろう。残されたメンバーが輝ける時間が続いたことは意義深かった。
寂しかった点はふたつ。ひとつは演出面でもう少し工夫できたのではないかということ。もうひとつは満杯のグリーンアリーナを見たかったということ。
この日は会場を横向きにしてステージを組んだため、座席の半分は観客を入れることがなかった(当日券も発売されていた)。まだまだスタッフもメンバーもやることがあるということだ。「やはり瀬戸内発信のアイドルグループは難しいのか」と言わせないことが5周年以降の課題といえる。
しかしながら、当日の昼に『NHKのど自慢』に6人のメンバーが生出演し、愛媛県から会場に駆けつけるなど、ハードスケジュールをこなしてのコンサートだったことは頭が下がるばかり。今後の奮起に期待しよう。
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取材・文/犬飼華
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