掟ポルシェの「美食」に至る病、『食尽族』刊行記念抱腹舌倒インタビュー
吉田豪 お母さんの手料理が口に合わなかったりはしたけど。それで謎が解けたのが、かつて秋元康が「クソ曲呼ばわりはやめてくれ、お母さんの作った料理のことクソ料理って言わないでしょ」って言ったときに誰よりも掟さんが反発したのはこれかって。掟さんは母親に「クソ料理」って言う人だった(笑)。
掟ポルシェ クソ料理とは言わないよ! たとえばハンバーグのときには、ソースとケチャップごっちゃにしたヤツは俺は嫌いだから、粉末のミートソースみたいなの作ってかけてくれって頼んだり、マイナーチェンジしてもらうの。あと母ちゃんの好きなカマボコとキャベツをグチャグチャにした生臭煮があって。
コンバットREC 「クソ曲」よりひどいよ、「生臭煮」って! 親の料理に文句言うんだから、秋元さんの曲に文句言うの当たり前だよね。
掟ポルシェ それは違うよ! だって秋元さんは「お母さんの作った料理に文句言わないでしょ」って言うけど、秋元さんは俺のお母さんじゃないもん。明らかに論点のずらしですよ! それ以前にAKBの曲好きになれなかったのもあるけど。
コンバットREC この本読んでても、明らかに嫌いな食べものとか不味い食べものを語るときのほうがテンションが上がるじゃない。これ、不味いときお母さんは相当言われたってこと?
掟ポルシェ いやいや、言わない言わない。不味い飯屋って仕事でやって金まで取ってるんだよ。でも母ちゃんは仕事でやってるわけじゃないし金も取ってないじゃん。うちの母ちゃんは料理をフィーリングで作るタイプで、レシピとか見ないから。何ごとも中くらいのレベルでは作れるんだけど、とにかく俺は不味いもの食うとあからさまに不機嫌になるし、美味いものを食えばめちゃくちゃ誉めるわけですよ。母ちゃんとしても、こいつの好きなものだけ作ったほうが気が楽だって感じになって。それで歩いて30秒くらいのところにある肉屋で肉を50グラムとか買って自分だけ焼いて食うとか。
吉田豪 掟さんはホントに不味い料理とかわいくない女子に対しては異常に厳しいじゃん。
掟ポルシェ かわいくない女子も、かわいくないから厳しいわけじゃなくて、飯屋は美味いのが仕事で、アイドルってかわいいのが仕事じゃん。だからアイドルでブスはダメだよ!
吉田豪 アイドルじゃなくても言うじゃん。