佐々木敦が語る、日本アイドルポップスの栄光と未来…世界基準の日本アイドルはなぜ生まれないのか
――そうなんですよね。
佐々木敦 市場の違いといえばそれまでだし、単純に韓国のスタッフが優秀だったからとしか言いようがないんですけど。僕は去年、急にAKB48アリになったじゃない?
――『根も葉もRumor』きっかけで。
佐々木敦 その次の『元カレです』もすごい好きなんですよ。秋元さんの歌詞を読んでると、元カレっていうのは完全に坂道に流れたAKB48ファンのことを言ってるとしか思えない。やっぱり面白いなと。さらに最近、僕は日向坂46もこれはこれでアリなんじゃないかと思い始めてて。
――あははは。
佐々木敦 これも結局、YouTubeのおすすめ動画にバラエティ番組の切り抜きが出てきたのがきっかけなんだけど、みーぱん(佐々木美玲)って人がおもしろ過ぎて。曲はぜんぜん知らないんですけど、「こういうのもあり」って思った(笑)。逆に南波さんに聞きたいのは、経済的にもコロナ後の日本のアイドルってめちゃくちゃ沈んでるわけじゃん。今までの話でだいたい結論は出ちゃってるとしても、この状況の中で「いやここ面白くなってきてるんですよ」とか、「この人たちにはまだ希望の光が」とか、苦難の中で気を吐くというか、あるいは今だからこそ出てきた可能性みたいなのってないんですかね?
――あるかなぁ。
佐々木敦 超無理ゲー(笑)。特典会メインのライブ
――物販でチェキとかサインするのを特典会というんですけど、本来は文字通り、何かに付属する特典だったんですよね。ライブに対する特典だとか、CDやグッズを買ったことに対する特典。でも、もはやその特典自体を売るみたいなことが常態化していて。コロナで変わるのかなと思ってたけど、逆に加速した側面もある気がします。でも、やっぱりそこを完全になくすまではいかなくても、頼りすぎずに本来の意味の特典会に戻すくらいにしないと、少なくとも外には開かれない感じはします。それこそ、BiSHやEMPiREはそれができているわけですよね。
佐々木敦 興行収入と音源売り上げだけでやっている。
――特にBiSHはそうですよね。あとはタレント的な活動をして。
佐々木敦 それは健康的ですよね。BiSHの成功はこの10年のアイドルシーンの中で最大のポジティブファクターだよね。ああいう成功モデルがあるんだから、みんなそっちに行こうってならないのかな。