R-指定(Creepy Nuts)、“R流”楽曲制作のロジックと計算式
日本一のフリースタイル巧者かつ、数多の楽曲をリリースし続けているR-指定。今回は、当連載でこれまで意外と焦点を当ててこなかった彼のリリック制作について聞いてみました。ラジオなどで「産みの苦しみ」を語ることの多い彼は楽曲とどう向き合っているのか? イベントの今後についても語っています!
「リリックのコスパ」問題
――2022年2月号から4月号まで、RくんにはDABO『PlatinumTongue』に対する異常な愛情を語って貰いました。そしてその答え合わせといいますか、話した内容について、5月号ではDABOさん自らが直接お話をして頂く事ができました。
R-指定 ありがたいですね。いろんな言葉をかけて下さって、本当に感謝しかないです。
――その中で「俺はほとんど、9割9分ぐらいのリリックは、頭から普通に書いていく」とDABOさんは仰っていて。トークでは「韻の構成も含めて、リリックを入れ替えてないとこの構成は説明がつかない」とお互いに予想していましたが、見事に外れました(笑)。
R-指定 ねえ。ホンマですか? 凄すぎますよ(笑)。
――色んな予想や想像の7割は合ってたとDABOさんは仰ってくれたけど、ちょっとハズしてた3割の一部がその予想だったみたい(笑)。ちなみにRくんも頭からそのまま書いていくような、パズル的にリリックを組み替えない書き方はするの?
R-指定 最近作った何曲かはそういう構成でしたね。でも一筆書きはホントに何回かしたぐらいで、「どれがそうやったっけな?」ぐらいの感じですね。逆に、今っぽい構造の楽曲やったり、現行のヒップホップの流れに沿ったものを意識したほうが、パズル形式になっていくんですよね。
――そうなんだ。イメージ的には現行のラップや、TRAPのようなノリを重視したものほど、一筆書きのようなイメージがあるんだけど、実際はその逆という。
R-指定 あくまでも僕の場合は、なんですけどね。テークエムともよく話してるんですけど、USも含めた現行のヒップホップやTRAPも、いわゆる連呼系から一歩先に進んで、フレーズを連呼するんだけど、そこに同じフレーズのリフレインやったり、フロウが小節の同じ場所で循環してたり、もっとループ的な「旨味」を感じたり……そういう「構造」で聴かせる曲が多くなってると思うんですよね。基本的には近いフロウなんだけど、リリックの内容がちょっとずつ変わっていったりとか。だから、大枠のメロディやフロウが先にあって、それに沿って言葉をはめていくような曲の時の方が、俺はパズルを使ったりしますね。同じフロウで最後まで行き切る場合とかは特に。
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