プロレスラー高阪剛、格闘技人生に幕…TKが語るリングス時代
――ゲイバーのママから前田さんに直電ですか!(笑)
高阪剛 それでママが、前田さんに「ちょっと、あんたのとこの入門テスト受けたいっていう奴がいるんだけど、代わっていい?」って言って、いきなり前田さんと電話でしゃべることになって。心の準備もへったくれもない中でお話しさせてもらって、後日、入門テストを受けさせてもらうことになったんですよ。
――じゃあ、新弟子の時からゲイバーのママいち押しのファイターだったんですね(笑)。
高阪剛 だから入門した後、自分は気づかなかったんですけど、寮生の間で「あいつは二丁目から来た奴だから気をつけろよ」って言われていたらしいです(笑)。
――ダハハハハ!「絶対にバックは取られるなよ」と(笑)。実際にリングスに入門してみて、いかがでしたか?
高阪剛 いやもう自分は最高の環境だと思いましたよ。練習環境は最高でタダで練習し放題、メシは食い放題、ちゃんと寝るところもあって、なんだったらデビュー前の新弟子でも小遣い程度の給料まで出る。ほかの練習生はだいたい3日もたずに夜逃げしてましたけど、自分は理解できなかった。「こんな天国みたいなところから、なんで逃げなきゃいけないの?」って。
――まあ、環境だけを考えたらそうですね。
高阪剛 逆だったら分かるんですよ。他の社会生活から逃げてここにたどり着いたというのなら。「なんでこっから逃げなきゃいけないの? こんな恵まれたところ他にねえよ」っていう感覚が自分にはあったんで。
――でも、UWF系の道場は今では考えられないほどの地獄だったとも言うじゃないですか。
高阪剛 もちろん練習もキツいし、先輩後輩の上下関係もあるし、雑用も山ほどあるから自分の時間はないかもしれないですけど。それはもう、プロの格闘家になるためにここに来てるわけだから。
――修行のために自ら地獄に飛び込んだんじゃなかったのか、と。
高阪剛 で、地獄だと思って入ってみたら、メシが食い放題なんですよ。天国じゃないですか(笑)。自分は正直そこが一番大きかった。メシ食い放題。
――ヘビー級は食事にカネがかかるし、中でも高阪さんはめちゃくちゃ食うことで有名でしたもんね。
高阪剛 自分は大学卒業後、一人暮らしで自炊していたことがあるんですよ。その時、どれだけお袋に感謝したことか。自分が食う量のメシを作るのも大変だし、お金も湯水のごとく使ってしまいましたからね。