櫻坂46渡邉理佐、7年間の“アイドル活動”に終止符…欅坂46の名曲にファンも興奮
櫻坂46・渡邉理佐の卒業コンサートが5月21日、22日に、東京・国立代々木第一体育館にて行われた。2015年8月に欅坂46の1期生としてグループに加入して以降、現在の櫻坂46に至るまで約7年にわたり最前線で活躍してき渡邉理佐。今回卒業コンサートの会場として選ばれたのは、2017年4月に欅坂46がデビュー1周年記念ライブを行ったほか、2020年10月に欅坂46がラストライブを実施した縁のある場所。そんな思い出深い会場で、セットリストに渡邉の意見が反映された、渡邉理佐のアイドル人生における集大成的ライブが展開された。
渡邉にとって櫻坂46最後のライブとなった22日公演では、「Overture」が爆音で流れたかと思うと、続いて水の滴る音とともに静寂が訪れる。すると、宮殿のようなステージセットに櫻坂46メンバーが姿を現し、最後にアーチから渡邉が登場。その彼女がセンターを務める「無言の宇宙」から、ライブはゆったりとスタートした。
儚さと壮大さを併せ持つこの曲は、彼女のラストステージの幕開けにふさわしいものであり、渡邉のメンバーカラー=青&白のペンライトとともに、早くも特別な空間が作り上げられる。また、曲のエンディングでは欅坂46時代から現在に至るまでの思い出の写真がスクリーンに映し出され、エモーショナルさがさらに増していった。
最初のMCでは、渡邉は卒業を控えた現在の心境について「少しずつ実感が湧いてきたんだけど、さっき裏で待機しているときに昔の映像を観ていたら、懐かしいなと最初からジーンとしてしまいました。今日は最後まで楽しんでいけたらと思います」とコメント。そこから「Nobody’s fault」「最終の地下鉄に乗って」と緩急に富んだ楽曲が連発されると、会場の熱量は徐々に高まっていく。「それが愛なのね」では渡邉がアリーナ中央に設置されたタワーで天高くまでリフトされ、会場中のBuddies(=櫻坂46ファン)に笑顔を振りまき続ける。そして、「流れ弾」で観客のボルテージは最高潮に達し、早くもこの日最初のクライマックスを迎えた。
このクライマックスは、その後も曲ごとに更新され続けることに。2期生によるMCを経て、ステージにひとり現れた渡邉。スクリーンに映し出された欅の木を見つめていると、そっと手を上げて欅坂46の名曲「二人セゾン」に突入する。この意外な選曲に、客席から驚きの声が漏れ始める。
現在グループに在籍する1期生9名で披露されたこの曲では、明るくも切ない曲調とともに、心の底から湧き上がるメンバーの笑みが印象に残り、落ちサビでのソロダンスを渡邉が担当するなど、彼女のラストステージにふさわしい演出も用意。また、「僕たちの戦争」では渡邉、上村莉菜、土生瑞穂というユニット“FIVE CARDS”のオリジナルメンバー3人が、トロッコを使って会場を回遊。この演出は「青空が違う」にも引き継がれ、渡邉と菅井友香が客席に向けて笑顔を送り続ける。
1期生が再びステージに勢揃いすると、自身の青春時代を振り返るような「制服と太陽」でノスタルジーに浸り、「世界には愛しかない」では一面青く染まった会場に向けてステージからポジティブなメッセージが届けられた。
モデルや女優として活躍する新木優子や『そこ曲がったら、櫻坂?』のMCを務める土田晃之&澤部佑と、渡邉となじみのある面々からのメッセージ映像に続いて、スクリーンには青い月が映し出される。すると、ステージ上空から釣られたブランコに乗る渡邉が姿を現し、そのまま「ブルームーンキス」に突入。曲中のセリフパートでは、センターの森田ひかるが渡邉に抱きつき「理佐さん大好き!」と仲むつまじい姿をアピールする一幕もあり、再び会場は和やかな空気に包まれていく。
また、「偶然の答え」ではセンターの藤吉夏鈴が憂いに満ちた表情で楽曲の世界を表現。続く「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」でも、さらに頼もしいパフォーマンスを提示していく。これは彼女に限ったことではなく2期生全員に言えることで、その佇まいや堂に入ったパフォーマンスからは渡邉に安心して卒業してもらおうとする彼女たちの成長と優しさが伝わってきた。
松田里奈を中心としたMCを経て、いよいよ最終ブロックへ突入。最新シングル「五月雨よ」では力強く真っすぐな山﨑天の歌声が、ドラマチックなアレンジとともに会場を優しくも切ない空気で包み込む。その流れで「思ったよりも寂しくない」「Buddies」といったスケールの大きな楽曲が連発され、客席は感動的な空気で充満していった。
いよいよライブ本編最後の曲へ。欅坂46オーディション時から現在までを振り返る映像とともに、「周りの支えがあったからここまで来れた 全ての出会いにありがとう。」「最後の曲は大切な23人で、大切な皆さんへ」とのメッセージがスクリーンに表示されると、ステージに勢ぞろいしたメンバーが「僕のジレンマ」をパフォーマンス。曲中では渡邉がメンバー一人一人と絡む振りも用意され、まさに彼女を笑顔で送り出すような優しさが伝わるも、1期生が渡邉に抱きつくクライマックスでは渡邉がこらえきれずに涙を流す。彼女と同じように多くのメンバーが瞳を潤ませる中、最後はメンバーに見送られる形で、渡邉が登場時のアーチを再びくぐってステージをあとにし、ライブ本編は幕を下ろした。
(文/西廣智一)