活動10周年のHKT48、次のステップに必要なものと若手メンバーの課題
MCの時間、卒業した村重杏奈の存在が頭をよぎった。そういえば、残されたメンバーは村重なき後のMCを不安視していた。秋吉優花など、腕が立つメンバーがいないわけではないが、爆発力には欠けていた。しかし、これも回を重ねていけば解決するはずだ。
横須賀と渋谷のメンバーを替えてきたのは正解だったと思う。経費を考えれば、同じメンバーで周った方が楽だ。だが、HKT48はそれを選択しなかった。全員で参加しているという意識を植えつけることの大事さを選んだのだ。そうしないと、参加メンバーと非参加メンバーとの間に熱の差が生じる。長い目で見た場合、それはグループにとって得策ではない。
2019年の九州ツアーのテーマは、「ポスト指原時代をどう生き抜くか」だったが、今回のテーマは、「1期生に頼らない形のHKT48の姿をいかに見せられるか」だった。宮脇も森保まどかも村重もいないステージ上から新政権の誕生をアピールしなければならない。新政権の頼もしさを残りの会場でも示す。信頼されるためには場数を踏んでいくしかない。
客席を出たところに、メンバーがメッセージを寄せたボードが展示されていた。多くのメンバーが「楽しみましょう!」と書いていた。楽しむ。それがHKT48の10年の道だったし、新政権の公約も、細かいことは考えずに「楽しさ」を提供し続けるということだ。
欲をいえば、若いメンバーがもっと貪欲に踊ってもいいと感じた。そうじゃないと、せっかくのツアーで自分の顔と名前を覚えてもらえない。関東のファンは全メンバーの顔を知っているわけではないのだ。次は5月1日の名古屋。いくつかの修正をして、さらに精度を上げてくると信じている。
文●犬飼華
【BUBKA (ブブカ) 2022年 1月号】
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