プロ野球・俺たちが忘れられない助っ人外国人たち…伊賀大介×中溝康隆が語る
――ご意見番的な。
中溝康隆 そうそう。その幻想も含めて呂明賜。しかも2年目以降は王監督がやめちゃって、報われない使われ方だったんですよね。呂明賜をちゃんと育てていたら90年代は松井秀喜とクリーンアップを組んでたかもと今でも思います。素質を生かしきれなかったと考えると非常にもったいない選手だけど、輝いた時間が短かったからこそ幻想が残ったのかなとも思うんですよ。
伊賀大介 呂は登場がマジですごかった!!出てきたのがシーズン途中の6月だったから、ファミスタに入っていなくて!! ファミ通の4コマ漫画にもそのネタあったな(笑)。
中溝康隆 呂明賜って言ったらいまだにみんな知ってるじゃないですか。通算本塁打はたったの18本なのに。そういう意味では助っ人一発屋史上最高の選手ですね。伊賀さんのナンバー1は誰ですか。
伊賀大介 クロマティ(巨人/1984-90)はおいといて……。
中溝康隆 巨人ファンとしては別枠ですよね、クロマティは。
伊賀大介 何て言うんですかね、真の仲間になっちゃった外人というか。天龍と組んでる時のハンセンみたいなもんで、青い目のサムライ枠ですよね(笑)。そうなるとブライアントかな。西武戦のダブルヘッダーで4発打った時はホントにすごかった。渾身の高めのストレートを打たれた渡辺久信がマウンドでガクッとヒザをついて……あれは名シーンだった。あと、小学校で皆マネしたデストラーデ(西武/1989-92、95)のガッツポーズ。
中溝康隆 確かに巨人ファンとしては90年の日本シリーズの初戦で打たれたスリーランは心を砕かれたからなあ。
伊賀大介 あとは誰だろ。ヤクルト時代のハウエル(ヤクルト/1992-94、巨人/1995)にもよく打たれてたなー。敵の方が印象深いすね。
中溝康隆 僕の次点はシェーン・マック(巨人/1995-96)。ベースランニングがめちゃくちゃ早くて、それを見た野村(克也)さんが「ワシなら1番に使うけどな」って言ったんですよ。残してる数字を見ても何で2年でクビにしちゃったんだって成績で。落合(博満)も巨人が優勝できないのはマックがいないからだって本に書いてたんですよ。マック自身もファッション誌のモデルなんかもやって日本にも馴染んでたんで、もし3年目も契約してたら、巨人から横浜に行ったロペス(巨人/2013-14、DNA/2015-20)みたいに息の長い活躍をしてたんじゃないかって思いますね。
伊賀大介 結局、巨人で長期間活躍した助っ人って生え抜きで考えたらほぼクロマティしかいないんですよね。
中溝康隆 俺は巨人に新しい助っ人が来るたびに、86年のクロマティが30本打った自前助っ人の最後だって毎年コピペのように書いてますよ(笑)。
取材・文/グレート巨砲
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伊賀大介=いが・だいすけ|1977年、東京都生まれ。22歳でスタイリストとしての活動を開始。映画『ジョゼと虎と魚たち』『モテキ』『バクマン。』『ハード・コア』『おおかみこどもの雨と雪』『宮本から君へ』などの作品をはじめ、演劇、広告、ミュージシャンなど幅広く活動中。また、音楽や映画、印刷物にも造詣が深いことでも知られる。WEB連載『文春野球コラム ペナントレース2020』の巨人担当としてコラムの執筆も行っていた。
中溝康隆=なかみぞ・やすたか(プロ野球死亡遊戯)|1979年、埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。ライター兼デザイナー。2010年10月より開設したブログ『プロ野球死亡遊戯』は現役選手の間でも話題に。『文春野球コラムペナントレース2017』では巨人担当として初代日本一に輝いた。ベストコラム集『プロ野球死亡遊戯』(文春文庫)、初の娯楽小説『ボス、俺を使ってくれないか?』(白泉社)、『原辰徳に憧れて-ビッグベイビーズのタツノリ30年愛-』(白夜書房)、『令和の巨人軍』(新潮新書)、『プロ野球 助っ人ベストヒット50 地上波テレビの野球中継で観ていた「愛しの外国人選手たち」』(ベースボールマガジン社)が好評発売中!
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