久保ちゃんは折にふれて、「仕事の合間、一球速報で見てるので」や「(助っ人のマルモレホスは)まだ日本の球を見たいっていう感じなので」などと、レベルの高さをチラチラっと垣間見せる。さほど嫌味なく、リスナーのインコースぎりぎりに投げてきたわけだ。今日はサンドウィッチマンとのトークでもあるが、リスナーとの勝負でもある。さあ、久保ちゃんの決め球は何か？

ここで、この日のオープン戦で楽天は中日に1点先制されたという速報がスタジオに入る。

伊達みきお「まあ、1点くらいだったらね、構いませんよ。跳ね返す打力があるので」
久保史緒里「昨日も9回で動いたので……」
富澤たけし「なかなか点数が入ったことを“動いた”って言う女子がね」
伊達みきお「すごいね！ 知識欲が。素晴らしい！」

久保ちゃんの決め球は専門用語だった。プロ野球には専門用語がいくつも存在する。たとえば、投げることを「放る」と呼ぶ。四球のことを「歩く」という。盗塁のことは「走る」だ。何年も野球に馴染み、体に染み込まないと、それらの言葉は出てこない。しかも、緊張しているラジオの生放送中に、である。だが、久保ちゃんは「動いた」と言った。

神は細部に宿るというが、こういうところが大事なのだ。マニアはそこを見ている。興奮した伊達は、「楽天の番組やりたいね！」と提案した。それはそうだろう。こんな高いレベルで分かり合える同志が芸能界に、それもアイドル界にいたのだから。

別にイケメン選手を応援しているファンがいても構わないが、少なくとも久保ちゃんがそこらのミーハーではないことは、サンドの2人とリスナーには十分伝わったのではないか。ちなみに、久保の開幕スタメン予想は以下の通り。

１　中　西川
２　一　鈴木
３　二　浅村
４　左　島内
５　DH　マルモレホス
６　三　茂木
７　右　和田
８　捕　安田
９　遊　山崎
(投　田中)

開幕スタメンと順位予想は、プロ野球ファンの楽しみの一つだ。当たるかどうかは二の次で、プロ野球についてあれこれ考える時間が楽しいのである。これが外れたとしても、責めないでほしいと切に願うばかりだ。

文●堀越日出夫