天龍源一郎が語る風間ルミさん「『そうはいかない!』の負けん気があった」
今思うと、彼女が二十代後半でプロレス業界初のレスラー兼女性社長になってLLPWを旗揚げしたのは凄いことだと思うよ。年齢的にはプロレスを続けるのか、一般女性に戻って結婚を考えるかっていう人生の岐路に立った状況で他のレスラーの生活を一身に背負ったわけだからね。面倒見がいいのかな。まあ、無謀って言えば無謀だけど、度胸があるって言えば度胸があるよね。
風間もそうだし、神取にしても、会社の作り方がわからない状態から、本を買って勉強して始めたらしいからね。女子プロレスラーは普通だったらチヤホヤ育てられるのに、歯を食いしばりながら会社を経営して、あそこまでのしあがったんだと思うよ。プロレスの枠の外の人でも風間ルミっていう名前を知ってたもんね。
ある選手から「ギャラの遅配とかは一度もありませんでした」って聞いたことがあるけど、大したもんだよ。あとは給料袋に一言添えたメモが入っていたとか。ちっちゃな心配りだけど、大事なことだよ。その時はわからなくても、あとになって選手たちはわかるんだよ。
俺がWARの社長で、風間がLLPWの社長という仕事での関係としては、WARが武骨なプロレスしかやってない時に「女子プロレスを入れて、ちょっと会場を和やかにしなきゃいけないって思うんだけど」って話をした時に気持ちよく選手を貸し出してくれたのは感謝しているよ。
各シリーズに4人位の選手が参加してくれたんだけど、巡業は男子レスラーと同じバスで移動するから、彼女たちは気を遣って大変だっただろうけど「WARに出ることで、少しでもLLPWの懐がよくなれば」と思って、我慢してやってくれていたんだと思うよ。