Creepy Nuts・R-指定「Rの異常な愛情」、DABOの革命前夜(完結編)
――「田舎に帰りな」をこう表現するという。
R-指定 〈ほら見てみな 鏡に映った自分 俺のベイビーとは月と人糞〉。「月とスッポン」とかではなく、「月と人糞」です(笑)。それぐらいお前は身の丈に合ってないナンパをしてるんやぞ、と。そして〈視力いくつ?紹介しようか? 良い目医者/キミはまさに 夢見がち ティーンネイジャー〉。「良い目医者」と「ティーンエイジャー」っていう、日本語と英語踏みに加えて、単語の飛距離もすごい。〈グッモーニン コケッコッコー実に滑稽で結構だが ここらでジ・エンド〉なんですけど、「コケッコッコー」と「結構」って、「結構コケコッコー」みたいなダジャレにも近くて。だけどそこに「滑稽」を挟むことで上等なライムになるんですよね。FORKさん(ICE BAHN)も「布団が吹っ飛んだ これはダジャレだ 布団が俺に吹く強烈な追い風によって吹っ飛んだこれはライムだ」って言ってますけど、ライムにはプロセスが大事なんですよね。どうつなげるかで、ダジャレもきれいなライムになるという。
―― 構造によって韻の深みが増していくと。なるほど。
R-指定 そして〈枯れ木に咲かせな ティッシュの花 一方/俺は女神のキスの嵐Keep On〉ですね。超上手いですね。「ティッシュの花」「キスの嵐」、「一方」「Keep On」と、2個のライムを同じ位置で踏んでセットにしていくっていう。で、2ヴァース目は〈まばゆい 天使の輪 色はやや栗色/光る前歯 まるでトミー・クニヒロ〉と彼女を褒めるんですよ。
――女性が国広富之に例えられて嬉しいかは置いといて(笑)。
R-指定 ここでイチャイチャしてる時にナンパ男も帰ればいいのに、まだ粘ってたんでしょうね。だから後半は〈聞きたかないだろ 鈍い銃声I-Ght?〉と、命に関わる話になってきてます(笑)。〈おかしな動きは無駄な努力 俺の手には お前のヤサの住所録〉……お前の住んでる場所なんかすぐ割れるぞ、ということなんでしょうね。そして〈いい年こいて 近所に迷惑かけたらあかんて ガキンチョじゃねぇんだ/ボヤでも出たら 日頃のバツだ 俺のレーコーに手を出すな〉。……怖すぎる(笑)。
――「月夜の晩ばかりじゃないぞ」という婉曲表現。
R-指定 「ボヤでも出たら」ですから「火を点ける」とは言ってない(笑)。そして3ヴァース目、〈リサ曰く スクラブ エリカ曰く タイローン〉。