Creepy Nuts・R-指定「DABOさんのラップはスムースやし、滑らかすぎるから、凄さを見逃しちゃうんですけど、分析するととんでもないライミングなんですよね」
――置き方でそのライムを強調してしまうと。
R-指定 だけどDABOさんはサラッと〈危険人物いざ意見陳述〉って当たり前みたいに使うんですよ。その後も〈新天地進出〉とライム的に同じ言葉を持ってきてさらに聴感を刺激する。でも、そんなすごいライムをしたその後に、〈どいたどいた俺様の御成り/夜風にさらす特大御稲荷〉って、キンタマ出してるんすよ(笑)。
――「どいたどいた」って、人をどかすほどデカい(笑)
R-指定 クライムサスペンス的な流れから、いきなり『平成狸合戦ぽんぽこ』みたいな感じに(笑)。海外にもこういうチョケはあると思うんですけど、「御稲荷」と表現するところに、和のわびさびや奥ゆかしさがあるんじゃないかと。そしてその後〈一口いかが? お嬢さん〉って、食わせようとしてますから(笑)。耳で聴いたらあんなにクールな声で言ってたのに、絵を想像したら相当オモロイですよね。
――Creepy Nutsを名乗ってるアーティストが、人前で金玉の話で笑ってるというのも相当異常事態だよ(笑)。
R-指定 そして〈食わにゃ損々/脱ぎなThongThong/泉コンコン/振るう棍棒〉。音的には「on/on」って韻を連打していってるんですけど、この〈Thong Thong〉は、R&BシンガーのSisqoの“Thong Song”からの引用なんですよね。
――「Thong」はTバックとか紐パンのことで、それを脱がすぞって曲だね。
R-指定 だから「滾々」という日本的な表現と、どエロR&Bをサンプリングして混ぜるという。この引用のバランス感覚がすごくDABOさん的。最先端の音楽や曲名、ラインを持ってきつつ、それを日本のボキャブラリーと上手く混ぜるバランスがホンマにDABOさんの一番の特徴的なところなのかなって。そして〈ビッチ パパラッチバイバイキン/戸をバタン顔面に刻むソール・パターン〉。
――「蹴る」とは言わないで、「蹴っている」ことがここで表現されているのも上手いね。
R-指定 話も全部筋が通ってるんですよ。「マイクでヴァースを蹴る」から、最後にキックするワードで終わるし、「御稲荷」もDABOさんの「MIC CHECK」でもあるという(笑)。
――くだらね~(笑)。