船木誠勝「ガチンコでやれば八百長って言われなくなる 単純にそう思ってましたね」【UWF】
――モーリス戦は中止になったわけですよね。
船木 それで半年欠場したら、考える時間がものすごくできちゃって。その時、「じゃあUWFが言ってることを実現しなきゃいけない」って思ったんです。
――「UWFは真剣勝負」という売り文句でやってるんだから、それをやろうと。
船木 UWFって、ファンやマスコミの人たちが、すごく応援してくれたじゃないですか。その人たちを裏切りたくないと思ったんですよ。なんとか言ってることとやってることの帳尻を合わせなきゃいけない。そればっかり考えてましたね。やるなら、胸を張って堂々とやりたいんで。
――その「胸を張ってやりたい」というのが、キーワードかもしれないですね。後ろめたくなく、やりたいと。
船木 やっぱり、新日本の若手の頃から、プロレスは「八百長」という言葉との戦いだったんですよ。じゃあ、ガチンコの技術を身につけて、ガチンコでやれば、八百長って言われなくなる。単純にそう思ってましたね。
――UWFでそれを実現しようと。
船木 だから復帰戦では鈴木と、打撃なしのパンクラスのような試合をして。寝技中心の地味な試合だったんですけど、UWFの熱心なファンの多い博多だったんで、お客さんがちゃんと見てくれましたね。それで次が前田さんとの試合で、レガースを着けずに蹴りを封印して、練習していたボクシングだけで勝負したんです。だけど、それが前田さんは気に入らなかったみたいですね。試合後、「全然、お客が沸いてないじゃないか」って言われて。