宮戸優光「前田さんとの関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいことですよ」【UWF】
――佐山さんからしたら、宮戸さんのことは、その経緯からして「前田から預かった子」みたいな感じがあって。「こうなったからには、おまえは向こうに戻るんだろう?」みたいなところがあったんですかね。
宮戸 それはわからないですけど、僕と前田さんが、連絡ぐらいは取ってるだろうとは思ったでしょうね。そういう中で、旧UWFが活動休止になり、前田さんから直接電話をいただいたことで、僕はUWFの方に行かせていただくことを決めたんですけどね。
――宮戸さんからしたら、心苦しかったでしょうね。
宮戸 そうですよ。前田さんも、佐山先生も、どちらも大変お世話になった方でしたから。どうして、こうなってしまったんだろうなって。だから、前田さんと佐山先生のふたりの間だけで揉めたのなら、あんなことにはならなかったと思う。あれだけ手が合っているように見えたお二人の関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいと言えば、悲しいことですよ。あれがきっかけで、佐山先生はUWFを離れることになるわけですけど、それによってマット界の流れが大きく変わってしまったわけですしね。だからもし、あ
のお二人がその後もずっと一緒にやっていたとしたら、のちにシューティングと言われる競技が生まれたとしても、もっと時期がずれていただろうし、違う形になっていたかもしれない。
――今の格闘技界とは、全然違っていたかもしれないですね。
宮戸 そうですね。佐山先生と前田さんがあそこで割れずに、もっと長く(第一次)UWFが続いていたら、その後、業務提携というかたちでの新日本への合流はなかったかもしれない。でも、その合流がなかったら、新生UWFがあれだけ世の中に出ることもなかったと思うんですよ。それはなぜかと言えば、UWFがあれだけ注目されたのは、新日本に合流して、テレビ朝日のゴールデンタイムの中で、そのスタイルと新旧世代の移り変わりを見せることができた。そのことは大きかったと思います。
――業務提携の2年間、UWFをテレビで毎週宣伝してもらったようなものですもんね。
宮戸 もしあれがなかったら、UWFが続いていたとしてもマニアックな世界のままだったかもしれない。