宮戸優光「前田さんとの関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいことですよ」【UWF】
――相当な体幹じゃないとできないですよね。
宮戸 あの脚力を見た時、「やっぱり、プロレスラーって普通じゃないんだな」と思いましたよ。当時、佐山先生のお名前はパンフレットに出ていたから知っていましたけど、まだ若手選手のひとりという立場でしたから、「プロレスラーというのは、若手でもこんなにすごいんだ」と驚いたのを覚えています。
――のちに佐山さんがプロレスラーの中でも特別な存在だとわかるけど、当時は「若手でこれなんだから、プロレスラーはなんてすごいんだ」と感じたわけですね。
宮戸 そうですね。
――宮戸さんから見て、若手時代の佐山さんと前田さんの関係はどのようなものでしたか?
宮戸 とても息の合われた先輩後輩に見えました。上下関係はありますけど、時たま冗談を言い合ったりして。前田さんも佐山先生を尊敬されている感じで、僕とふたりのとき「佐山さんはすごいんだぞ。100メートルを11秒くらいで走るんだ」とか、そんな話をしていただいたのを覚えています。
――その後、佐山さんは3年間海外に行かれて、81年春にタイガーマスクとして帰国するわけですけど。宮戸さんはタイガーマスクが登場したとき、正体は佐山さんだとわかりましたか?
宮戸 すぐわかりましたね。体型からなにからね。
――タイガーマスクになった佐山さんの試合はどう思いましたか?
宮戸 最初、新日本プロレスにタイガーマスクが登場するって聞いた時、やっぱり僕らは梶原一騎先生の『タイガーマスク』を見て育ってますから、現実のリングでどんな選手が現れるんだろう? って、ちょっと懐疑的じゃないですけど、そんな気持ちだったんですよ。