【BUBKA1月号】なんてったってキヨハラ第16回「変わりつつあるなにか」

まだ世間が弾けたバブルの残骸で踊る中、芝浦に巨大ディスコ・ジュリアナ東京がオープンした5月は、背番号3にとってプロ入り以来初の“ホームランゼロ月間”となってしまう。こうなると、昨年のパーティーで堤義明オーナーが清原だけを自分の側に立たせた球団の特別扱いを批判する声も噴出する。

ならば夜の街で気分転換を図ろうにも、すでに渡辺久信や工藤公康ら昔の遊び仲間たちは続々と結婚して家庭を持っていた。追い打ちをかけるようにこの頃、恩師と慕う人物がガンでこの世を去る。ひとり部屋にいると不動の四番と最年少1億円選手のプレッシャーが襲い、盟友とんねるずが歌う「情けねえ」が身に沁みた。

そんなどん底から這い出るきっかけは、やはり“平成の名勝負”だ。6月4日西武球場の近鉄戦、1回裏二死二塁で野茂英雄が投じた145キロの外角高め直球を左翼芝生席へ。実に36試合、152打席ぶりの1発だった。八重歯が夕陽にキラリと光り、握りしめた拳で噛みしめるようなガッツポーズを見せたキヨマーは、翌5日の同カードでも2試合連発の第8号。

『週刊宝石』にはバブル崩壊で苦戦する「千昌夫92億円ホテル売却計画!」に続き「野球評論家の意見も大分裂……清原の絶不調でナゾに包まれた真因!」が……じゃなくて、『小学五年生』7月号には「スーパーファミコンの野望」や「吉田栄作・宮沢りえTシャツ着こなし術」特集と並んで、漫画「激振!!清原和博物語」が掲載。

ついにスランプを脱したかに思われたが、8日のオリックス戦を前夜食らった左手首死球の影響で欠場。連覇を狙うチームも6連敗と波に乗り切れず、5月下旬には9.5差をつけた2位近鉄にジワジワと追い上げられる。傷心のキヨマーはミーティングで黒江コーチから名指しでどなりつけられ、5試合ノーヒットが続いた7月6日の試合前には頑なに四番で使い続けた森監督から呼ばれ、ついにスタメン落ちを告げられる。

野球人生で一番の屈辱に心折れかけ、自暴自棄になり「八百長ばっかりやりやがって!」とジョン・テンタに向かってブチギレ、控え室でも暴れて社長夫人に「ぶっ殺すぞ!」なんてイスを投げつけた北尾光司とは対照的に、キヨマーは今まで自分は強いと思ってたけど意外に弱いんやな……と黙々と西武第二球場で汗にまみれ己と向き合った。

――記事の続きは、発売中の「BUBKA1月号」で!

中溝康隆=なかみぞ・やすたか(プロ野球死亡遊戯)|1979年埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。ライター兼デザイナー。2010年10月より開設したブログ『プロ野球死亡遊戯』は現役選手の間でも話題に。『文春野球コラムペナントレース2017』では巨人担当として初代日本一に輝いた。主な著書に『プロ野球死亡遊戯』(文春文庫)、『ボス、俺を使ってくれないか?』(白泉社)、『原辰徳に憧れて-ビッグベイビーズのタツノリ30年愛-』(白夜書房)、『令和の巨人軍』『現役引退―プロ野球名選手「最後の1年」』(新潮新書)などがある。

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