【BUBKA1月号】BOOK RETURN 話題の著者に直撃取材!! vol.37 鷹鳥屋明『私はアラブの王様たちとどのように付き合っているのか?』
――やっぱり産油国と非産油国では国民性の違いみたいなものがあるんですか?
鷹鳥屋 産油国は、“金持ち喧嘩せず”ではないですが、鷹揚に構えているところがあります。ですが、石油王なんて存在しないし、意外と散財しませんよ(笑)。私は、この本の帯に「石油王なんていません!」と付記しているのですが、港区のキラキラ系女子の目を覚まさせたい!――という悲願がある。彼女たちの中には、かつてのカナダのハーレクイン社が出版している女性向け大衆恋愛小説よろしく砂漠の王子様に見初められるという幻想を抱いている人が少なくない。そんなシーク系みたいな物語は実際には起こらないんだ、目を覚ませ! ですよ(でも実際そうなったケースはゼロではないですが)。ですから、某『東京カレンダー』の編集者の友人に、この本を紹介してくれと頼んだら、あっさり断れた!
――ハハハハハ! 東カレ編集部としては、ずっと目を覚まさないでいてほしいでしょうからね。
鷹鳥屋 そして、非産油国のアラブ人はプライドが高いです。自分たちの方が、文明が栄えていたという自負がある。現在のエジプト人は古代エジプト人とほぼ関係ないはずですが偉大なエジプト人、というプライドの高さを持っています。「俺たちはイスラム以前から立派な文明があった」って言うのですが、当時はローマ帝国の人たちがいたわけで、現在いるアラブ人はそこまで関係ないだろと(笑)。それに対して、産油国だってプライドが低いというわけではない。彼らは彼らで、我々が一番偉い、一番素晴らしい、と牽制をし合っている。
国によって、王様の敬称がサウジアラビア、バーレーンは国王(マリク)、アラブ首長国連邦やカタール、クウェートでは首長(シェイク、アミール)、オマーンでは国王(スルタン)という具合に異なる。同じ呼称にあえて立たないことで一意性を維持しているというか、例えとして難しいですが、一番偉いのは征夷大将軍なのか関白なのか摂政なのか太政大臣なのか、みたいな話です。みんな偉いんだけど、どれが一番偉いのか?と言われたら色んな面で甲乙付けにくくみんな偉いよね、となります。