プロ野球界において、「落合博満」こそ、最高のエンタメだ。〈ノーカット版〉

後編

伊賀大介(スタイリスト)×中溝康隆(プロ野球死亡遊戯)

取材・文/高目満貫

話題沸騰のノンフィクション!! 『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』について語る“BUBKA不動の二遊間”対談全文を公開!!

BUBKA野球企画において「不動の二遊間」的存在である、伊賀大介と中溝康隆が、「名選手、必ずしも名監督にあらず」が定説となっている球界で、在任期間中は全てAクラス、リーグ優勝4回に導いた稀代の名将・落合博満をテーマにした今話題の書について語り尽くした。この対談で惜しくもBUBKA1月号で掲載されなかった部分を含む、“完全ノーカット版”をBUBKA WEBで公開する。

胸熱な書籍名場面

前編から
――あれだけ「非情な勝負師」のイメージが強い落合の印象深いエピソードが、「家族」や「食卓」というのもギャップがあって良いですよね。

中溝 最近、福嗣くんのツイートで、『嫌われた監督』に出てくる、三冠王の記念にもらった落合家の車が……。

伊賀 あ、俺もそのツイートスクショしましたよ!

中溝 「赤と青のドラゴンズカラーって書いてあったけど、実際は違いますよ。なんでちゃんと聞いてくれないんですか」って、福嗣くんが怒った。言わば落合の盾になってるのが福嗣くん。実際の車の写真を見ると、赤・銀なんですよね。

――写真を見ると、たしかに全く青じゃないですね。

伊賀 あと、この話から見えるのは、三冠王獲ったときにもらった車を監督になっても乗ってるっていう、落合は相当物持ちがいいってこと。

中溝 もう40年近いですよね。

伊賀 そうなると、『嫌われた監督』で落合がガレージからバッーって出てきて、車を出して、ちょっと置いといて、それから乗り込むみたいな描写があるんですけど、たぶん車が古いから暖気してるんすよ。もったいぶってるんじゃなくて、単純に暖気してる(笑)。

――車なんていくらでも買えるぐらい稼いでるのに、昔もらった車を大事にしている。落合博満の人間性の部分に触れる貴重な話ですね。

中溝 選手時代のエピソードは人情系のエピソードも結構多くて。『現役引退』っていう本で書いたんですけど、オールスターで元巨人の同僚の香田(勲男)が近鉄に移籍して投げたときに、落合がファールボールをポケットに入れて取っといてくれて、ベンチに戻ったら「とっとけよ」って言って渡してくれたとか。あと、巨人移籍当初もキャンプでは一人で部屋に籠って、独り言言いながら鍋してたのに、それが10.8で中日に勝って優勝した時には涙を流して喜ぶみたいな。

伊賀 あと、落合は記者を家に入れる監督じゃないですか。そのあたりも、人間味のある昭和の監督って感じがあって良いっすよね。

中溝 なるほど。

伊賀 今の監督は自宅に記者を入れなそうじゃないですか。

中溝 井口(資仁)とか絶対入れないっすもんね。

伊賀 入れなさそう(笑)。タツノリも入れないんじゃないですか? 「取材は東京ドームホテルで」みたいな。

中溝 場所指定しそうですよね(笑)。

伊賀 そうそうそう(笑)。

――アポなしで自宅に来た記者に、「まあ上がれよ」みたいなタイプではないでしょうね。

伊賀 「俺は一人で来るやつには喋るぞ」とは言わなそうっすよね。ここでも信子夫人の存在がデカいんですよ。信子夫人の飯が、独身の新聞記者の胃袋を掴み、シンパを増やす(笑)。

中溝 タツノリの家で明子夫人の手料理とか、想像できないですもんね。俺が小学生の時にファンレター出した明子さん……。

――「旦那さんをよろしくお願いします」のファンレター(笑)。

中溝 そうそうそう(笑)。そういうタツノリの人間味が見えてこないっていうのは、ファンとしてはちょっともどかしい。何考えてるかわかんねえみたいになっちゃてるから。

伊賀 星野(仙一)なんかは、落合とはまた違いますよね。記者を連れて外で飲みそうじゃないですか、クラブとかで。「お前もこういうとこで飲めるようなやつになれよ」みたいなタイプ。

中溝 天龍(源一郎)っぽさ。

伊賀 そうそう! アイスペールで回し飲みして、帰るときに「タクシー代」って、記者のポケットに3万円ねじ込む。そういう昭和気質。(ジャンボ)鶴田は飲みに行かなそうじゃないですか。実際行ってなかったらしいし(笑)。

中溝 タツノリと鶴田は同じラインですもんね。

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