2021-11-30 06:00

プロ野球界において、「落合博満」こそ、最高のエンタメだ。〈ノーカット版〉

一蓮托生信子夫人

中溝 『嫌われた監督』を読んでいて感じたのが、信子夫人の重要性。なかなか見えてこない落合の感情の部分を補完しているのが信子夫人なんだなぁと。ナゴヤドームで「こうしていられないわ!」って言ってメガホンを放り出して走り出したみたいなエピソードがありましたけど、信子夫人のそういう部分に、将軍KYワカマツ(※4)みたいな、がなりたてるマネージャー感があって、デカい存在感だなって。

――御守りの話もあったじゃないですか。

中溝 あれも良かったですね。落合がまだ若手で無名の頃に、今まで落合が大切にしてた物を全部、信子の家のベランダで燃やして、代わりに御守りを渡して、プロ野球界での成功を誓う話。それ以外も信子夫人が語る無名時代の落合の話が本当に良くて。

伊賀 だからこそ、この『嫌われた監督』とセットで読んで欲しいのが、同じ落合本の『戦士の食卓』。完全にワンセットになってるんすよ。

中溝 たしかに!

伊賀 『戦士の食卓』は信子史観の落合。サッチー・ノムさん(野村沙知代・野村克也)もそうだったと思うんですけど、落合夫婦は完全にニコイチですよ。そこに (落合)福嗣くんも入れて、家族が完全に一体化してる。俺が『戦士の食卓』を絶対読まないといけないと思ったきっかけは、『ジブリ汗まみれ』(※5)に『戦士の食卓』の宣伝で福嗣くんが出た回があったんですけど、これが本当に神回で。鈴木敏夫って人は飯の話を聞くのが大好きじゃないですか。「どうなの、落合家は」って聞いたんですけど、その後の福嗣くんの話が最高で。「トマトがあったら、まず食べてみろって。水で洗って、そのままシャクっと食べるんですよ。で、その後に塩をパラっと振って食って……」みたいな話が、講談みたいで、とにかく気持ち良くて! 「この本、絶対読まねぇと!」って、思いましたね。落合家はとにかく高くて、ちゃんといいもの、一流のものを食うらしいんです。あと、おやつはお菓子じゃなくて、めざしとかだったりするらしいんすよ。本当に食育がすごい。福嗣くんもそうですけど、落合を食育したのも信子夫人なわけじゃないですか。カップラーメンばっかり食ってたのを「あんたこんなもんばっか食ってんじゃないわよ!」って。

中溝 落合本って食べ物がめっちゃ美味そうですよね。渡辺ジュースの素を白米にかけて食ってたみたいな話もありました。あと、俺も遠征でよく新幹線に乗るんで、アイスクリーム見るたびに「あっ、落合の好きなアイスクリームだ」みたいな。

伊賀 固いやつね。

中溝 あと、カレールーをつまみに酒を飲むらしくて、「そばとカレーがあれば十分だよ」って言ってるんですよ。実は『こち亀』の両津勘吉も「ラーメン、カレー、ヤキソバがあったら生きていける」みたいなことを言ってて(笑)。そういう落合の人間っぽさっていうか、昔の「ズンドコ落合」がなんか俺すごい好きで。

――『嫌われた監督』でも、まだ付き合う前のふたりのエピソードで、信子夫人が家に帰ると、勝手に上がり込んでいた落合が豚肉を焼いていて、「お前も食え。美味いぞ」みたいな話もありましたね。

中溝 強引な落合に「私、お付き合いしてる人がいるのよ!」みたいな(笑)。

伊賀 「そんな奴より、俺の方がいいぞ」って(笑)。最高っすよね。この二人は完全なニコイチ。もう、ファミコンみたいに抱き合わせで売ったほうがいいっすよ!

中溝 今こそ、信子本を出すときですよね。プロ野球界で「ノムさん・サッチー」「博満・信子」みたいな関係性は、今後はもうないんじゃないですか。

伊賀 女子アナと結婚しても、なかなかそういう浪花節にならないですからね。

中溝 そもそも、信子夫人みたいな女どこにいるんだよ!

伊賀 あははははっ!

中溝 今の時代にいる!? どこに行ったら会えるんだろ(笑)。

後編に続く
(対談日:2021年11月12日)

将軍KYワカマツ(※4)
本名・若松市政。国際プロレス、新日本プロレス、SWSで活躍。ストロング・マシーン軍団のマネージャとしてトラメガで大声でがなりたてながら暴れる様で人気を博した。

『ジブリ汗まみれ』(※5)
ジブリのプロデューサー・鈴木敏夫をパーソナリティに、2007年10月7日からエフエム東京をキーステーションにJFN系列で日曜日23:00-23:30に放送されているラジオ番組。

いが・だいすけ
1977年、東京都生まれ。22歳でスタイリストとしての活動を開始。映画『ジョゼと虎と魚たち』『モテキ』『バクマン。』『ハード・コア』『おおかみこどもの雨と雪』『宮本から君へ』などの作品を始め、演劇、広告、ミュージシャンなど幅広く活動中。また、音楽や映画、印刷物にも造詣が深いことでも知られる。WEB連載『文春野球コラム ペナントレース2020』の巨人担当としてコラムの執筆も行っていた。

なかみぞ・やすたか(プロ野球死亡遊戯)
1979年、埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。ライター兼デザイナー。2010年10月より開設したブログ『プロ野球死亡遊戯』は現役選手の間でも話題に。『文春野球コラムペナントレース2017』では巨人担当として初代日本一に輝いた。ベストコラム集『プロ野球死亡遊戯』(文春文庫)、初の娯楽小説『ボス、俺を使ってくれないか?』(白泉社)、『原辰徳に憧れて-ビッグベイビーズのタツノリ30年愛-』(白夜書房)など著書多数。『令和の巨人軍』(新潮新書)が好評発売中!

嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか (文春e-book) Kindle版
▼Amazon

戦士の食卓
▼Amazon

Twitterでシェア

関連記事

BUBKA RANKING11:30更新

  1. 坂元誉梨の『初心者バイク女子の奮闘日記』#13「プロにおまかせしてきました」
  2. 【BUBKA2月号】栗栖正伸、イス大王が語る遅咲きヒールとしての苦節50年
  3. 日向坂46・四期生が誰よりも高く跳んだ日━━武道館3Daysで見せつけた実力と一体感、そしてハッピーオーラ!
  4. 渡辺正行「テレビに出る前の原石を、たくさん見ることができたのは幸せですよね」
  5. SKE48荒井優希、ステージ上でリング上でひときわ目立った“存在感”
  6. “教養としてのラーメン”著者・青木健「ラーメンって、答え合わせをして食べるようなものじゃないと思うんです」
  7. 宮戸優光「前田さんとの関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいことですよ」【UWF】
  8. 伊藤俊介(オズワルド)、どうして承認欲求のバケモノになったのか…『一旦書かせて頂きます』刊行インタビュー
  9. 坂元誉梨の『初心者バイク女子の奮闘日記』#12「東京モーターサイクルショー」
  10. ファンの追い風を受けて=LOVE(イコラブ)旋風が巻き起こる予感
  1. 山下美月、人生最後(?)のセーラー服姿に「まだまだ似合ってる」「最後と言わず、これからも着てほしい」
  2. 乃木坂46筒井あやめ、真っ赤なニットタンクトップ姿を披露『サグラダファミリア』前でダブルピース
  3. 元乃木坂46鈴木絢音の学生服&貴重なツインテール姿に「あざとさ全開!」「まだまだJKいけますよ!」と反響続々
  4. 櫻坂46大沼晶保の海中釣り写真が「現役アイドルがやることではない」と話題に!過去には千鳥・大悟の飛び込み芸も再現
  5. 脱クレーマーを誓った日向坂46 松田好花が自らの不運をオードリー若林の「言霊」のせいだと主張し、クレーム業は臨時休業ならず
  6. “ここからだ世代”のAKB48佐藤綺星「大人の自覚、芽生えました!」
  7. 『櫻坂46&週刊少年マガジン』グラビアコラボ最終週、山下瞳月のカバーカット解禁!的野美青×村井優・谷口愛季の新カットも
  8. 元乃木坂46 山下美月がステーキを頬張る「彼女とデートで来たみたい」「なんでそんなに可愛く食べられるの…」
  9. 日向坂46楽屋立てこもり事件勃発!「撮れ高モンスター」松田好花の先輩潰しに佐々木久美「おい、松田」でクレーマー涙の土下座芸
  10. 坂元誉梨の『初心者バイク女子の奮闘日記』#13「プロにおまかせしてきました」